また大前さんからのもらい物の話題です。最新の著作「訣別、大前研一の新・国家戦略論」をいただきました。
1989年に出版された「平成維新」以来、久々に国家戦略論の本です。今の政治家が、いかにバカかということがものすごくよくわかります。超お勧め!の一冊です。
さて、いま国論を二分するほどと言ってもいいぐらいに大騒ぎしている「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)」ですが、日本の未来にとってどれほど重大なことなのでしょうか。
どんな協定なのかと思って、中身を見てみれば、その第一項目に「工業製品、農産物、繊維・衣料品の関税の撤廃」とあります。
これを見た瞬間にこれは絶対にムリだと感じました。日本の場合、アメリカにゴリ押しされれば、何でも言うことを聞いてしまうので、農産物にかかる関税を本当に撤廃させてしまうかも知れませんが、当のアメリカ自身が絶対に関税を撤廃できるわけがありません。もしアメリカが、農産物にかかる関税を撤廃したら、オーストラリアの農家にいちころにやられてしまうからです。何しろ、日本が一年間に消費する米をオーストラリアでは、たった3件の農家で作ることができるぐらいの大規模農業をやっています。それが、オーストラリアの農業なのですから、日本に比べたらずっと大規模なアメリカの農家でも、まったく勝ち目はありません。撤廃なんていうことをしたら、オバマ政権は瞬間的に崩壊するでしょう。
それに比べたら、日本の園芸作物である丹精こめて作られた野菜は、関税に守られていなくても意外に強いかもしれません。昔、ピーナッツの関税がアメリカの圧力によって撤廃されましたが、今でも時期になると千葉県産の落花生がスーパーの野菜売り場にたくさん積み上げられていますよね。
「例外なき自由化」をしたら、本当に困るのはアメリカ自身なのですから、こんな協定が結ばれるはずがない、とボクは見ています。所詮は国内の雇用がほしいオバマ大統領の悪あがきに過ぎません。
このTPPのことの本質は、台頭する中国に対してブロック経済化で対抗しようともくろむアメリカの誰かが、おそらく裏で仕掛けているのではないでしょうか。
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