昨日、お客様が料理に感動して涙を流していた、とかんたろうから聞いた。そのお客様は、70代のご婦人とのことだった。
けっして、うちの料理はこんなにもすばらしいんだ!、と自慢したいわけではない。うちの店の雰囲気、接客、料理などの総合力が、そのご婦人の琴線に触れたことがうれしかったのであります。
人が料理を食べて感極まり、なぜ涙を流すのか、ボク自身、経験したことがないので、じつのところ本当のところはよくわかっていないが、料理がどんなにおいしくても料理の力だけでは絶対にだめだと思う。店のしつらえやそこからかもし出される雰囲気とか空気感に、心のこもった暖かい接客とか、一緒に来店した人との関係や楽しい雰囲気などが複雑に絡み合って、最終的に料理の味が引き金になるのではないか。そんな感じがしている。その人が慣れ親しんだ生活文化の中で、郷愁をそそることも必要だ。
そのご婦人が召し上がっていたのは、松花堂弁当「桃山(1900円)」。昔、京都吉兆の徳岡さんが、お客様がやはり感動して涙を流されることがあると言っていたが、京都吉兆の料理の値段は、最低で35000円。菊の井の村田さんも同じようなことを言っていたが、菊の井の料理の値段は、たしか15000円以上だったような気がする。その1/8から1/20の値段のお料理で、ご婦人の琴線に触れることができたことは本当にめちゃ嬉しかった。1900円は、どこにでも存在する料理の値段なんだから、心から感謝、感謝です。本当にありがとうございました。
地元の伊勢湾でとれた天然車えび、マフグの白子、賀茂なす、ゆばのお椀です。いつもはマグロ節ですが、これは血合い抜きの鰹節で引いたお出汁を使ってみました。名古屋では、白壁町の料亭「かもめ」さんしか使っていないという最高級の本節です。
でも、まだエグミがある、香りが気に入らないと鰹節屋の社長さんに一応伝えてあります。香りに関しては、店で鰹節を引かないので、仕方がないんですけどね。
修行時代は、時々やっていましたが、うちの店で毎朝、鰹節をカンナで引くなんていうことは、人員的な問題でまったく無理なので、「思い切って機械を買っちゃおうか」とかんたろうに言ったら、「そんな高いもの買ってどうするの!手で削れ!!」と激しく拒絶されてしまいました。oz・・・
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