昔は酒と言えば、日本酒のことだった。それがいつしかビールに取って代わられ、そのビールさえも、最近では出荷量が落ちているという。(もしかしたらその分ジュースやお茶の類が増えているのかな?)
日本酒を飲む人は少なくなったが、そうした世の中であっても、日本酒を愛する人々はけっこう今でもたくさんいる。日本酒の会をやれば、どこも盛況だからだ。
現在日本酒を飲む人たちは、好む酒の傾向によって、おおよそ2種類に分かれる。ひとつは、熟年層に多い“地酒第一世代”とも言うべき人たちだ。越の寒梅、八海山、立山、久保田などの銘柄を好んで飲み、良い酒は燗をしたらもったいないと思っている。だから酒は冷やして飲むし、料理の邪魔になったらいけないと思っている。政界にたとえるなら自民党に当てはまる守旧派の陣営だ。長い間、日本酒界を牛耳ってきた。
もうひとつは、燗上がりのする純米酒を好んで飲む人たちだ。神亀、秋鹿、睡龍、宗玄、鷹勇などの銘柄になる。日本酒に関しては、本物を求め、こだわる人が多く、食べ物とのマリアージュにも神経を使う。自民党のやり方に嫌気がさして飛び出してきた人たちみたいなものだから、民主党と言って言えなくもない。
政界では、政権交代が起きたが、日本酒の世界ではいまだ「冷酒」を支持する層が厚いので、「純米・燗酒派」は、もうこのまま万年野党なのかと思っていたが、政権交代まであと一歩のところまで来ているようだ。「食楽」3月号の「日本酒番付」を見るべし。
「食楽」3月号で、なんと!!!
秋鹿の「へのへのもへじ」が西の横綱になっている
のを発見!
この酒は、5年ほど前からボクがもっとも力を注ぎ込んできた酒だ。秋鹿の奥専務さんの希望で、日本酒の会を年に2回づつ開催してきているので、うちに来るお客さんであれば、なじみの銘柄である。
おそらく、2009年バージョンはバランスが良かったので、推挙されたんだと思う。(生より火入れのほうがもっとバランスが良い。写真は生。)いま店でメニューに載せて売っているのは、この「へのへのもへじ」を10度の冷蔵庫で、約2年間熟成させた「2008年バージョン(生)」。もちろん、横綱に推挙された2009年バージョン(生と火入れ)もたくさんあります。
名古屋でこの酒が飲めるのは「京加茂」だけです。2年熟成酒となれば、おそらく全国の中でも、うちの店しかないのではないかと思っています。すべて東京の「マルセウ本間商店」の本間さんから仕入れて、自家熟成したものです。
使われている米は、自社田による「自然栽培の山田錦」だ。あぐりーもさんと同じ「無農薬」「無肥料」で栽培された究極のエコ農法である。
うちの定番酒のひとつである「宗玄」は西の大関になりました。
そのほかにも、「竹鶴」、「開運」、「凱陣」、「諏訪泉」、「神亀・上槽中汲」、「きもとのどぶ」など、メニューに載せているお酒が番付に載っていました。
「開運」と「きもとのどぶ」が十両になっているが、これはちょっと解せない。とくに「きもとのどぶ」は、酒造年度とタンクにもよるが、大関以上の実力はまちがいなくあると思う。逆に「宗玄」の大関はちょっと出来過ぎ。この年は、坂口杜氏が復帰したばかりの年だから、まだまだ本当の実力は出ていなかったように思う。3年前の酒と飲み比べてみれば、それがはっきりとわかる。
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