あけましておめでとうございます。
なにとぞ、本年もよろしくお願い申し上げます。<(_ _)>
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さて、築地の初競りで、大間のマグロが1628万円の値をつけたそうだ。キロ当たりに換算すると7万円。買い主は、香港の寿しチェーンと東京、銀座の老舗すし屋「久兵衛」さん。
昨年末に、マグロ屋の荻原さんからキロ2万6千円の値段になったと聞いていたから、初競りで高値がつくことは予想していたが、7万円とはすごい。大とろのにぎり1貫が、おそらく2万円ぐらいになる。それでも店側の儲けはない。
昨年の後半から「デフレに突入した」と盛んにメディアがあおっていたが、世の中の真実を見ていないのではないかと、ずっと疑問に思ってきた。日々の生活に必ずしも必要とされない高額嗜好品と不動産の値段は確かに強烈に下がっているが、電気、ガスなどの光熱費、あるいは食などの生活必需品のほうは、値段がむしろ上がっているような気がしている。
これをデフレの一言で片付けてよいのだろうか。新型インフルエンザではないけれど、日本においては、ある種、新しい形の経済現象である。新型デフレとでも言ったほうがよい。
だとすれば、日本は間違いなく貧乏な国へとひた走っていることになる。
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☆2日、午前9時半。京都、南禅寺「瓢亭」にて。
まだ時間が早いので、外をブラブラしていたら、高橋さんがご自宅から出ていらっしゃるのに遭遇。
あわててご挨拶をさせていただく。
そのあと、ご自宅の門に張ってあるJRのポスターに話が移る。
今年の高橋さんは、JR6社が共同で開催する「冬の旅」キャンペーンのイメージキャラクターに、笹岡隆甫さん(華道「未生流笹岡」次期家元)とともに選ばれたそうだ。笹岡さんと代わりばんこに3月まで、全国の駅構内と車内に張られるとのこと。その撮影が朝の5時から行われたことなど、いろいろ話してくださった。
「ボクはてっきり、(店は息子さんにまかして)、俳優になられたんかと思いました。」
「こんな老いぼれじいさんを写したら、お客さんがへりまっせ、というたんやけど・・・・・」
と、高橋さんは笑いながらご謙遜されていましたが、でも、なんだかとてもうれしそうでした。
☆これは車内ポスターの一部です。羽織はかまで映っていることがかろうじてわかりますね。
でも、そんなことが言いたいわけじゃありません。
ポスターに書いてある高橋さんの言葉が、ものすごくいいんです。それをちょっとご紹介させていただきます。
『あくせくしても仕方ない。
地道にやって、
その中に進歩があればよい。
できるだけ
自然でいること。
その辺の奥ゆかしさが
京都の味でしょうか。
京都料亭「瓢亭」 高橋英一』
すばらしいでしょ。肝に銘じなければと思います。
高橋さんと記念撮影。
このあと別館のほうで、「うずら雑炊」をいただく。朝から満席で、すでに2回転め。
どんな料理にも必ずつける名物「瓢亭たまご」のさりげない美味しさに美味の表現方法を改めて考える。
おかゆの出汁とのバランス、その塩加減に感嘆する。これだけ忙しいのにまったくぶれていない。別館の責任者は息子さんであったことを思い出し、息子さんもまた相当な技量を身につけていることを確信する。
おまけ画像。
【高橋英一さんとは】
江戸初期から続く老舗料理屋「瓢亭」の第14代当主として、自ら腕をふるうほか、京都芽生会、京都料飲組合などの会長を歴任し、京料理の振興、伝統京野菜の復興にも尽力する京料理界の頂点に立つ重鎮中の重鎮。その一方で、茶人であり、やきものを焼き、山野草を育てる生粋の文化人でもある。しかも、京都の人らしく、決してあちこちに自分を売り込むことはしない。ミシュランで三ツ星。ボクが今まで出会った料理人の中で、最高の人格者であるとともに、最高の料理人だと信じて疑わない。人生の師が大前研一さんであるならば、ボクにとって料理の師は高橋さんであるといえる。
地道にやって、
その中に進歩があればよい。
できるだけ
自然でいること。
最近地道に出来ていません。
見せかけだけの進歩かもしれない事に気付かされます。
自然体でもないですし。。。
決してあちこちに自分を売り込むことはしない。
最近の自分と比較して鑑みると、ちょっと勘違いしている自分自身がいる事に気付かされます。
農家(個人事業主)になってから全てを一人で決められる状態になってしまい、自分自身で修正できる環境が少なくなったような気がします。
こうして人生の諸先輩の言葉に触れると、修正しなきゃいけないな~、と言う思いが舞い戻って来ます。
投稿情報: 耕作人 | 2010/01/06 01:56
耕作人さん、こんにちは。
ボクのような凡人は、師をもち、教えを乞うことがとても重要だと思っています。
師によって鍛えられれば、思考の深み、人間としての厚み、己のもつ技量などが、まったく違ってきます。こんな幸せは、ほかにありません。
きびしく鍛えられることの幸せ、というと、なにか変人のように思われる人がいると思いますが、ただで世の中に打ち勝っていくだけの土台を作ってもらえるのですから、こんなありがたいことはないと思います。
売り込むことと、人のつながりを通じて広めていくことは、似て非なるものです。
耕作人さんにはあえて言わなかったのですが、高橋さんが京の伝統野菜の復興に力を尽くしたように、自然農法というものを、もっとこの世の中で、正当に認知されるものにしたい、という思いで、今回、高橋さんにお渡ししてきました。それと同時に、高橋さんが自然農法を知ることよって、これまで高橋さんからいろいろ教えてもらったことに対する恩返しのひとつになればという気持ちもありました。また、日本の農業が長い時間をかけて築き上げてきた慣行農法とは何だったのか。肥料とは何だったのか。美味に対して、それはどんな影響をもつものなのか。これらの疑問を高橋さんと共有したいという思いも、じつはありました。あともうひとつは、味の感想です。良い返事がいただければ、きっと耕作人さんの励みになるだろうなぁーと思って。
売り込むというのは、野心に基づく自分の欲望のためですが、広めるというのは、自分のためだけでなく、自分以外のためという無償の行為も含まれています。どこにその境界線があるんだといわれると、ちょっと困りますが。それとも、耕作人さん自身が、ボクの知らないところで、あちこちに売り込んでいるんですか。(^^ゞそれぐらいのことでしたら、おそらく普通は営業といいます。(^^ゞ
高橋さんという人は、植物を育てることがものすごく好きな方です。仕事が終わってからご自宅の庭で育てている山野草の世話をしているうちに、気がついたら夜が明け始めてきたことが何度でもある、とおっしゃっていました。植物に対する愛情の深さがひしひしと感じられるすばらしい話だと思います。ぜひとも耕作人さんも、そのような方になっていただきたいと強く願っております。がんばってください。
投稿情報: 京加茂おやじ | 2010/01/06 04:17
なんと言えば良いのか適当な言葉が見つかりませんが、とにかく生産量を増やさなきゃ、生活費を稼がなきゃと、時たま目先のことに追われて、なぜ自然栽培に手を出し始めたのかって本来の意味を忘れてしまいそうになる時があるんです。
特に営業をかけて顧客を増やそうと言う事はしてはいませんが、ブログの書き方とかもう少し謙虚に書いたほうが良いのかな?などと感じてしまう言葉だったんです。
いま私の周りにいる人は殆どが年下で、年下といっても皆さん社会人ですのでそれぞれに考えはしっかりしているのですが、高橋さんのように圧倒的な懐の厚みを感じる事は少ないです。
そうした意味で人生の先輩である京加茂さんとお付き合いさせていただくのは、料理や野菜の事だけでなく刺激になることが多いです。
ところで話変わりますが、とある料理本に瓢亭さんを始め他の和食の職人さんが載っていたのですが、瓢亭さんの経歴を全く知らない洋食のコックさんが、息子でさんある15代目の料理写真を見て、この人の料理だけは食べてみたくなると言っていました。
そのコックさん曰く、そのレシピを見ていると、15代目さんが和食だけじゃなくフレンチやイタリアンの事をとても勉強しているのがよく分かると言っていました。
そのコックさんも暇さえあれば素材の勉強や、色々な料理の本を読んでいたり、年下ですが感心させられる料理人の一人です。
投稿情報: 耕作人 | 2010/01/06 12:31