名古屋市の日本料理店 京加茂の亭主 京加茂おやじのブログ

壁を突破する

日々の仕事を進めていくとき、人は幾多の壁に突き当たる。 しかし、それがどんなに巨大な壁であっても、乗り越えることができない壁はほとんどない、と思ったほうがいい。壁を突破できないのは、壁が巨大だからではなく、巨大な壁を前に「もうだめだ」とひるんでしまう、その心の弱さにある。 歴史上の偉大な先達たちは、巨大な壁に真っ向から立ち向かい、誰もが執念でその壁を克服してきている。その執念がどこから生まれてくるかというと、自分の人生に対する意欲に突き当たる。だから、人生に対する能動的な意欲がない人間は、何をやってもダメだと思う。 一度きりの人生を実りあるものにするために、強い意欲とそのための執念を持っているかどうか。自分自身にいま一度、自問自答してみたい。 もしそれがないのなら、夢はすべてあきらめて、家畜として生きる運命しかない。 『突破力』を高めるための３か条 １、何が一番問題かを、まずはきちんと見極めよ。 ２、巨大な壁を突破した先達に学べ。 ３、強い「執念」なくして突破なし！ ・・・・・・・名古屋の食文化を世界の最先端にしたい。

健康ブーム

健康ブームのおかげで、塩分、糖分、脂肪、コレステロールなどなど、人間の身体にとって必要なものが、まるで有害物質のような扱いを受けています。 『敵に塩を送る』という言葉があります。上杉謙信が、塩不足に悩む宿敵武田信玄に塩を送って助けたという故事から、「苦境にある敵を助ける」という意味なのですが、これだけ塩分が嫌われるようになると、「敵に毒を送る」という意味も付け加えなければならない。 糖分というのは、誰にとってもおいしく感じるものです。この糖分は、動物のエネルギーそのものだから、人が進化の過程で、必然的に美味しく感じるように遺伝子に組み込まれたのだと思います。 脂肪もまた、エネルギーを蓄えるために重要です。だから、やはり美味しく感じます。これもまた、いくたの食糧危機を乗り越えてきたホモサピエンスが、進化によって、その仕組みを獲得し、美味しく感じるように身につけてきたものなんだと思います。 コレステロールは、血管を補強するために重要な役割を果たし、卵、タラコ、明太子、イクラ、キャビア、カラスミなど、コレステロールが多い食品は、完全栄養食品であることが多い。 これもマズイわけがありません。同じように進化の過程で、遺伝子に組み込まれたのでしょう。 ところが、２１世紀。 ついに人類は、舌で感じる美味しさを少し犠牲にしても、健康という魅力に勝てなくなった。カロリー表示が当たり前になり、ヘルシーというフレーズが、何よりも勝るものとなった。 大手メーカーが作る飲料のほとんどは、砂糖なんてもう入っていない。カロリーがない人口甘味料が主流を占め、カロリーゼロを自慢げに宣伝している。 ナタデココ、こんにゃくゼリー、アロエ、寒天･･･ 栄養のないものが、一時的に流行しては、消えてゆく。 結局、「ヘルシー」という新しい美味しさが、ここに誕生したのだと思うしかない。 今から約750年前、 曹洞宗の永平寺を開いた道元禅師は、 「淡味」というものを発見した。 典座教訓という本の中で、 『ものには酸味、苦味、辛味、塩辛味、 甘味の五つの味があるが、 一番大切にしなくてはならないのは 「淡味」であって、これを加えて六味とするべきだ。』と書かれています。 この「淡味」というのは、 調味料による濃厚な味ではなくて、 材料そのものからにじみ出てくる旨味、 あるいは、滋味のことです。 もし、道元禅師が今の時代を生きていたら、 『ものには酸味、苦味、辛味、 塩辛味、甘味、淡味の六つの味があるが、 一番大切にしなくてはならないのは 「ヘルス味」であって、 これを加えて七味とするべきだ。』 と言わなければなりません。

出汁の文化、脂肪の文化。

戦後、著しく変わってきた日本人の嗜好に、出汁(だし)離れがある。

日本人はもともと、カツオや昆布や干し椎茸などの出汁の旨味に慣れ親しみ、日本人には切っても切り離せないものだった。ところが、それらが今日、肉や脂肪のおいしさに取って代わってしまった。だしを引かなくなった家庭を見れば一目瞭然である。当の昔に、だしは、うどんやそばや和食店でしかお目にかかれない特殊なものとなったのだ。

この出汁の旨味と肉の脂肪を調べてみたら、じつに面白いことがわかった。

旨味は、主にグルタミン酸ナトリウムで、味は「旨み」である。一方、脂肪は、脂肪酸(ステアリン酸)で、味は無味。つまり舌ではまったく何も感じない。粘度のある液体が通過することを感知するだけだ。しかし、この両者は、驚くべきことに化学構造がとても似ているらしいのだ。そのため、舌の上では明らかに違うものと認識されていながら、小腸では、よく似た物質として認識されているという。じつに不思議なことであるが、なぜ日本人は、西洋や中華とはまったく違う独自の料理文化を発展させてきたのか。それを解明するひとつのヒントにはなりそうだ。

明治になるまで多くの日本人は、おもに宗教上の理由から動物の脂肪を食べることがなかった。だから、出汁のグルタミン酸の旨味で、脂肪に相当する味を感じて満足してきた。そして、そのことが日本料理を独自の発展へと導く、もっとも大きな原因になったのではないか、と思うのである。

巨大な「伊勢えび」と「鯛」の姿作り

画像ではちょっとわかりにくいのですが、１尾で１キロを超えるとても大きな「伊勢えび」です。産地は伊勢湾。だから「伊勢の伊勢えび」って呼んでます。お祝いの席に使いました。

もうひとつお祝いの席(お宮参り)があり、こちらは、鯛の姿作りのご注文。これも産地は伊勢湾。１，５キロぐらい。脂のノリはそこそこ。やや水気多し、といった感じ。伊勢湾であがる典型的な春の鯛の味かな。 どちらも、器が小さい、というか、伊勢えびと鯛が大き過ぎました。お客さんにとってはうれしい誤算だったかも。しかし、調理場では、貧乏暇なしの悲鳴があがっております。。。 ひょっとしたら、そんな心の叫び声が聞こえたのかもしれません。ご祝儀をたんまりといただきました。○○さん、誠にありがとうございました。この場をお借りして、心からお礼申し上げます。

京加茂おやじの包丁さばき。

http://www.youtube.com/watch?v=z99ClKSTcbw ↑動画です。おやじが「桜マス」をおろしているところ。 へたくそだなぁ～。これじゃ、とても人様には見せれないぞ、おい。 http://www.youtube.com/watch?v=fw9vY8tJBwc ↑筍の下処理。１０キロを一度にゆでます。約２時間。筍にぬかの匂いをつけたくないから、米ぬかは入れません。

超高価な食材二つ。みる貝と完熟マンゴー

「みる貝」。瀬戸内海、三河湾、東京湾などの内海に生息する。二枚貝なのに水管が大きすぎて、貝を閉じることが出来ないという変なやつ。二枚貝の中では、もっとも高価。過食部分だけで考えれば、まちがいなく超高級品。あわびと並んで、東西の両横綱。 それをこんなに買っちゃった、どうしよう・・・・・

「宮崎県の宮崎完熟マンゴー」。自然に落果するまで樹上で完熟させ、ネットに落ちたものを収穫する宮崎の特産品です。 マンゴーはウルシ科の常緑高木でヒマラヤ山麓が原産地。宮崎の完熟マンゴーの収穫期は４月～７月、６月がピーク。 果肉は繊維質が少なく、柔かく、濃厚な甘み、果汁も多く、香りも最高、本当に美味しいです。外国産のアップルマンゴーとはまるで別物と考えて良いと思います。

私たち人類が生まれるはるか昔、シーラカンスやアンモナイトといった古代生物が生息していたころの海水でできた塩。ピンク色をしているので、「紅塩」とも言う。ミネラルが豊富に含まれている。おろし金でおろして、おろしたての甘みを味わってね。 では、また明日。

今年初めてのスイカが入荷。

熊本の小玉スイカ「ひとりじめ」。糖度が高いことで有名。約１８度。 ボクは、スイカを見ただけで、中の種の配置がわかるんです。だから、種と種の寸隙をぬって、二つに割ることが出来ます。

ほらね。ご覧のとおり。まるで種無しスイカみたいでしょ。でもちゃんと種は普通のスイカと同じようにたくさんあるんですよ。 人は、ボクのことを「ゴッドハンドをもつ男」と呼ぶ・・・なんちって。うそうそ。(^^ゞ

桑名産のたけのこ。今が最盛期。

知多半島、佐久島の平貝。

その平貝の貝柱。ヒモや肝も食べればおいしいが、この部分がもっともご馳走。

５月３０日のイベント。残席１となりました。

「第四回、秋鹿の純米酒と初夏の味を楽しむ会」

残席、１となりました。

↓ポスターです。

kyoukamo_09041701.pdf

庭に来たわるい猫。

堅い話が続いたので、今日はお庭の写真。

人相(猫相)の悪い野良猫。人が近づいても逃げない。最近は、こいつがよくやって来る。客商売なんだから、もうちょっと何とかしてほしい、その目つき。それじゃ、まるでけんか売ってるのとおなじでっせ。あっ、そうか。「オレにも寄こせ！」って、ガン切ってるのか、きみは・・・・・

やっと芽を出した「クサソテツ」。別名「こごみ」。植えつけてから３年ほどたつので、株があちこちに少しづつ増えてはいるが、まだ食べるわけにはいかないゾ。

あぐりーもの森さんのところでもらった「わけぎ」。もちろん、自然栽培。畑の土とは違うので、無事に種が採取できればいいのだが・・・・・今のところは元気そう。

「黄花カナダおだまき」のつぼみ。もうすぐさきまっせ。原産地はカナダ。強健で、ほっといても育つ。

「ヒメシャガ」。シャガ(あやめやしょうぶの仲間)より小さいので、この名がある。清楚な花とは裏腹に、林内では、岩の上に生えるほど、じつはたくましいやつ。

(クリックすると大きくなります。)先日庭に植えた大豆が芽を出した。目指すは自然栽培。しかも、不耕起(耕さないということ)。枝豆になるまでちゃんと成長したら、食っちゃうつもり。(^^ゞ

思索、試作、しさく。。。

新作の思索。

自然を賛美しすぎてはいけない

最近のエコブームは、地球環境にとっては好ましいことだと思う。だが、忘れてならないことがある。現代社会というのは、生産を極限にまで効率化し、ありとあらゆる手段を使って消費を煽り、資源の消費を急速に拡大させることで社会が発展してきた。つまり、誰もが享受しているこの文明社会というのは、自然界の破壊消耗を極度に加速させた社会のことなのである。少しぐらい二酸化炭素の排出を減らしたからといって、それが止まるものではない。 そのやりすぎの結果、いま反省がおこっているのだが、その反省の仕方にもやや問題がある。あまりにも自然を賛美しすぎていると思うのは、ボクだけであろうか。 自然には、二つの顔がある。自然の美しさと自然の過酷さだ。前者は、傍観者として眺めるときに感じる自然の美しさである。しかし、野山に咲く草花から山々の雄大な景色に至るまで、その美しさに心を奪われることは、悪いことではないが、それはあくまでも傍観者としてしか感じることのない心情だということ。山に入り、ひとたび開墾を目的とすれば、機械技術が進んだ現代であっても、自然が美しく見える心根など、一瞬にして吹き飛んでしまうであろう。ましてや山々の中で生活するとなれば、都会人なら、その苦痛と不便さはとても耐えられるものではない。自然の過酷さに辟易するに決まっている。年配者なら、なおのことだ。 つまり、私たちが賛美している自然というのは、自分たちにとって都合が良いだけの自然と、その極小部分でしかない。視野が狭く、非常に底の浅いものだ、ということを知っておかなければならないと思う。 いまから、たったの６０年前、東南アジアに進軍した日本兵は、恵みの豊かな地帯であったため、飢えにこそ、苦しめられることはなかったが、自然のなかで生きることの過酷さをいやというほど味わった。ジャングルの中で、木をはげしく揺らしつつ、けたたましい泣き声とともに移動する猿の大群に兵士たちは、息を潜めて立ち去るのを待ち、害虫の大集団の突然の襲来に恐怖し、猛威を振るうマラリア、コレラ、チフス、赤痢といった伝染病に絶えずおびえながら、まったく手付かずの自然の中で生きることの真の恐ろしさを皆が身をもって味わっていたという。死の覚悟をもった兵士たちですら、日々その恐怖と戦っていたのだ。 自然に生きるとは、こういうことなのである。