世の中に商売の数はごまんとあるが、なかでも中古車業は難しい部類の商売のように思える。
オークションで自動車を仕入れてきて、店に展示し、幸運にもすぐお客がつき、すぐ売れれば何の問題もない。利益が出てハッピーだ。しかし、なかなか買い手が付かなかったらどうなるだろう。クラッシックカー以外の中古車は、一月ごとに車の査定が落ちていくから、展示している期間が長くなればなるほど、自動車の売値が下がる。1年以上も売れなければ、仕入れた値段よりも安く売らなければならない車種も発生するだろう。このような商売は、一台の金額も大きいし、それがなま物同様の値段の動きをするから、よほど売る自信がなければできるものじゃない。
それに比べて、古本屋はラクだ。利幅が大きいうえに値段も安定している。もし売り損じるようだったら、また古本市場に放出することだってできるので、中古車業ほどには不良在庫で頭を悩ます必要がない。
詳しいことは知らないが、はたから見ていて美容院も、そういう意味ではむずかしい商売には入らないような気がする。基本的には手間賃仕事だから、仕入れはシャンプーやパーマ液などわずかなものしかないし、飲食店のように、それが腐って使えなくなることもない。価格も割合維持されていて価格破壊の対象になることもない。自分の感性と波長の合うお客さんを一定数確保することができれば、流行に対する勉強は必要であるが、頭を痛めずにハッピーに生きていける職業である。
そうしてみると、どんな商売にも仕入れのロスはつき物であるが、ロスの多い商売ほど、商売の難易度が高いように思えてくる。
たとえば、飲食店専門に納めている八百屋であれば、飲食店からの注文の分だけ毎日仕入れれば、ロスはゼロになり、かなり効率のよい商売ができる。中規模程度以上の飲食店であれば、一月に50万円や60万円ぐらいの仕入れはするので、それを10軒も持てば、年収1000万も夢ではない。ところが、店舗を構え、店頭に野菜を並べて、主婦を相手にしだすとそうはいかなくなる。朝仕入れたものが売れ残って、見た目にも古そうになれば、自分たちで食べるか、廃棄するしかない。何が売れるかそのときになって見ないとわからないから、ロスが非常に多いのである。キャベツを10個仕入れてきて、3個廃棄したら、おそらく利益はゼロであろう。その証拠に、美容院は小さな個人店がいくつも健在しているのに、お父ちゃんとお母ちゃんでやっていたような町の八百屋さんは、早々に姿を消してしまった。
その非常に難易度の高い青果業にチャレンジしている男がいる。「ナチュラル&オーガニック、ラペッシュ」という八百屋を始めた竹内さんだ。
http://www.lapeche.info/index.html
その竹内さんから、先日、サンプルの野菜をいただきました。たしか減農薬とおっしゃっていたような気がする牛蒡、たまねぎ、サトイモです。間違っていたらごめんなさい。
たまねぎとごぼう。
サトイモ。
早速、試食してみました。牛蒡は煮付けに。たまねぎはオニオンスライスに。
牛蒡は非常にみずみずしい。その反対に牛蒡の命ともいえる香りが薄いような気がしました。
たまねぎは、異常なほど柔らかかったです。それに、普通のたまねぎにはないヌメリも少し感じました。
サトイモはまだ試食をしておりませんが、他の野菜との差別化をいかにはっきりと消費者に見せつけることができるかに商売の浮沈がかかっているように思います。
竹内さん、ご活躍を祈念しております。頑張ってください。
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